60周年。
3月6日で僕の店は60周年を迎えた。
人でいえば還暦。
60年前の昭和33年3月6日に祖父が立ち上げた理容室は、母が受け継ぎ、その息子の僕に受け継がれ、60年の月日を重ねさせていただいた。
左:祖母 右:祖父
創業者の祖父は職人気質で酒が大好き。
気に食わなければお客さんでも怒鳴りつけて帰らせちゃうような人。
宵越しの金は持たない主義でその日の売上で毎晩飲みに行く人だった。
それが祟り僕が幼稚園の頃に倒れ、以降ハサミを持てなくなった。
祖父が倒れ急遽独りで店をやることになった母は、高校進学をあきらめ理容師になり、後にはシングルマザーとして休むことなく死に物狂いで働いて家族を支えた。
休みの日にも母は出掛けていて家にいるということはあまりなく、僕はほとんど祖母と二人で過ごしていた。
そうして受け継がれたバトンはついに僕に渡された。
しかし残念ながら、僕はそんな祖父と母を見ていたせいか、酒は飲みたくないし、休みもなく死に物狂いで働くつもりもない人になった。
それによって失うものがたくさんあるのを見てきてしまったから。
酒は人の輪を広げるし、自営業なら休む間も惜しんで働くのは当たり前。そんなことはわかってる。
でもやりたくない自分がいるのだ。
だから僕は自営業には向かないタイプなのかもしれない。
というか理容師に向いてると思ったことなど一度もない。
僕にとって大事なもの、それは家族との時間だ。
きっとそれが小さい頃の僕に足りなかったものだったから。
出掛けるときはみんなで出掛けて、スキーもキャンプもしたいし、ご飯も毎日みんなで食べたい。
そうやって食べるご飯が何よりも美味しいことを、僕が大好きだった祖母が教えてくれた。
もちろん僕がそうしたくないからといって、祖父や母がしてきたことを否定するつもりはない。
むしろ僕の今があるのが祖父や母のおかげであることは、十分理解してるし、感謝もしてる。
そしてなにより責任を感じている。
これが看板の重さというものなのか。
僕は祖父や母とは違った、僕なりのやり方を模索していきたい。
僕はもっと仕事を楽しみたいし、日常も楽しみたい。
楽しむというと「楽をする」と捉える人もいるかもしれないが、それは決してそうじゃない。
なんの後ろ盾もない、吹けば飛びそうな個人の事業主が60年もの歳月を積み重ねてきたことが「楽」であるはずがない。
何かの困難に面したとき、何かのアクションを起こそうとするときや起こさなきゃならなくなったとき、これからどうしていくかを考えるとき、、、
色々な場面で人は自分と向き合わなくてはならないときがある。
そういうときに、「楽しそう」という基準を常に持っていたい。
それは決して楽をすることではなく、楽しむために苦労することだってありうるだろう。
でもその苦労すらも楽しむという選択が事前にできていれば、それは「苦労」ではあっても「苦痛」にはならないはずだ。
他の人から見たら、「なんかこいつ毎日楽しそうだな」と思ってもらえればそれでよいのだ。苦労の部分は知ってもらう必要はない。
店は還暦を迎え、僕の人生も折り返しを過ぎた。物語もいよいよ佳境に入ってきたなぁ、僕の考えてきたことを形にして色々と還元していかないとな、と思うのです。
とまぁ、何が言いたいんだかわからない感じてつらつらと書き連ねてしまったので、ここいらでお知らせです 笑
理容フルサワ60周年を記念しまして、ノベルティを作成しました！ご来店下さったお客様全員にお渡しします。
400個作ったのですぐにはなくならないかと思いますが、なくなってしまったらすみません。
それとこちらはまだデザイン待ちなのですが、エプロンを作ります。受注生産でやりますので、デザインが出来上がったらお知らせしますね。
こんな感じの僕であり、妻でありますが、今後とも理容フルサワ&お顔剃りエステ~LIVINGROOM~を宜しくお願い致しますm(_ _)m
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理容フルサワ～a livingroom～
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投稿者プロフィール
- 理容師
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昭和33年創業「古澤理容館」の三代目、現在は、癒しメニュー特化型理容室「理容フルサワ～LIVINGROOM～ 」室長。1973年生まれ、出身・在住ともに横浜市鶴見区。全理連ヘアーカウンセラー。2010年横浜市優秀技能者賞受賞。
理容師の為のオンラインサロン『Barber-Bar』主宰。
顔そりやヘッドスパなどの「癒し」に特化したサロンコンセプトのもと、ストレス社会に生きる現代人の疲れや肌荒れと向き合っている。特にメンズ向けのシェービングは「顔そりという名のエステ」として圧倒的な心地良さをもたらし、その独自の顔そり術は評判を呼び遠方からの来客も多い。
活動理念は「顧客様の日常に笑顔が増えるお手伝いをする」。顔剃りとヘッドスパでお客様を眠りに誘うことがやりがい。
ブログは15年以上続けており、ライフワークとなっている。
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