『ふとあの頃の必死だった自分に会えたこと』

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スチーマーが壊れた。

 

理容室で言うスチーマーとは、蒸しタオルを作る機械のこと。

 

スチーマーの中にお湯を貯め、濡れたタオルを入れてスイッチをいれると、お湯が沸き、スチームされて殺菌されたホクホクの蒸しタオルが出来上がる。

 

ここで出来た蒸しタオルを顔にそっと乗せ、ヒゲを柔らかくし肌の汚れを落とす。

 

つまり顔そりをする理容室にとってスチーマーというのはなくてはならないものなのだ。

 

年末だったが、まだ差し迫ってはいなかったので注文は間に合ったのは幸運だった。

 

届いたスチーマーは新しくてピカピカ。

 

これを古いのと入れ替え、置き場所もないのでとりあえず外に仮置き。

 

もう何年使ったかわからないくらいに使い込んだスチーマー。少なくても20年。よく頑張りました。

このスチーマー、なんでこんなアルミテープぐるぐる巻きの姿になってるかと言うと、少しでも電気代を安くするために僕が自分で貼ったんです。

 

スチーマーって常に湯を沸かしてる状態なのでわりと電気を食うんです。

 

修行先から帰ってきた当時は母一人分の売上しかなく。当然ですよね、母一人で頑張ってきた店なのですから売上も当然一人分。

 

妻を働かせるのも何か違う気がして、昼は理容師やって、夜中にバイトもして、2〜3時間の睡眠でまた昼の仕事したりしてました。

 

だからほんと生活がキツく、少しでも電気代を減らしたくて、まわりに断熱材を巻いてアルミテープで止めたんです。

これが効果がどれほどあったかはわかりません。ただ、ホントに少しのことでもどうにかしようと毎日必死でした。

 

ふとしたことで、あの頃の頑張ってた自分を思い出させてくれました。

 

そして今の僕はそこまで頑張れてるのだろうか?とも。

 

今は少し余裕ができ、どうにかこの仕事を続けられていますが、当時はいつもお金の心配ばかりしてました。

 

そういう苦労も乗り越えて今があるのだと思うと、あの頃の自分を褒めたくもあり、同時にたくさんの人に支えていただけたなと感慨深くもなりました。

 

よくある言葉ですけど、「初心に戻れた」まさにそんな気がします。

 

お疲れ様、スチーマー。20年以上も長きにわたりありがとな。

投稿者プロフィール

古澤 達也
古澤 達也理容師
昭和33年創業「古澤理容館」の三代目、現在は、癒しメニュー特化型理容室「理容フルサワ~LIVINGROOM~ 」室長。1973年生まれ、出身・在住ともに横浜市鶴見区。全理連ヘアーカウンセラー。2010年横浜市優秀技能者賞受賞。

理容師の為のオンラインサロン『Barber-Bar』主宰。

顔そりやヘッドスパなどの「癒し」に特化したサロンコンセプトのもと、ストレス社会に生きる現代人の疲れや肌荒れと向き合っている。特にメンズ向けのシェービングは「顔そりという名のエステ」として圧倒的な心地良さをもたらし、その独自の顔そり術は評判を呼び遠方からの来客も多い。

活動理念は「顧客様の日常に笑顔が増えるお手伝いをする」。顔剃りとヘッドスパでお客様を眠りに誘うことがやりがい。

ブログは15年以上続けており、ライフワークとなっている。